NPO法人 ブライト・フューチャー

私たちBright Futureはラオスの子供たちに「音楽・アート・運動の楽しさ」を伝える活動を行っています。

ルアンパバーン視察レポート2025.05.22

3月のルアンパバーンへの視察に同行してくれた学生ボランティアスタッフよりレポートが届きました!!


2025年3⽉、私はラオス・ルアンパバーンを訪れた。現地でさまざまな⼈々と出会い、⽂化や⽣活に触れる中で、多くの学びを得ることができた。特に、教育に対する考 え⽅とその重要性について、改めて深く考えさせられる滞在となった。
滞在中は、現地の⺠族⽂化に触れる機会にも恵まれた。カム族をはじめとするさまざまな⺠族の村を訪れ、伝統的な古紙づくりや刺繍、織物の技術を⾒学した。⼿作業による美しい⼯芸品に触れ、興味深く感じると同時に、これらを⽇本の⼈たちにも紹介するだけでも、⽇本の⼈がラオスのことを知るきっかけになり、⼤きな意味があると感じた。寺院やマーケットを巡りながら、⼈々の暮らしの⼀端を垣間⾒ることができた。
⼿作業による美しい織物や、敬虔な仏教⽂化が根付く⽇常⾵景から、地域に根ざした⽣活と⽂化の重みを強く感じた。しかし、それ以上に⼼に残ったのは、教育の持つ⼒であった。
到着初⽇には、⽇本⼈が経営する「LuLaLao Coffee」というカフェを訪問した。スタイリッシュな店内は、ラオスの中でも特に洗練された雰囲気を醸し出しており、現地とは思えないほどだった。ここで元川さんという⽅から、ラオスでビジネスを⾏う難しさや、教育と家庭環境の関係について話を伺った。
特に興味深かったのは、彼が研究者時代に⾏った調査についてだ。都市部と農村部 では教育に対する親の意識が⼤きく異なり、農村部では「算数」や「国語」など具体的 な教科を学ばせたいと考える⼀⽅、都市部では「友達を作る⼒」や「考える⼒」といった、より抽象的で再現性の⾼いスキルを重視する傾向があるという。教育に対するこの根本的な意識の違いが、⼦どもたちの将来に⼤きな影響を与えているのだと感じた。
また、元川さんのビジネス体験も⾮常に印象的だった。ラオスでは外国⼈が⼟地を所有できないため、現地の⼈と信頼関係を築き、⼟地を貸してもらうしかない。質の⾼いコーヒー⾖の⽣産⽅法を教えても、すべての農家がそれを実践するわけではないという。
彼は笑い話として、従業員が真⾯⽬に働かないことも話してくれたが、根本には労働に対する⽂化的な意識の違いがあると感じた。これらのことを理解せずに経済的⽀援を⾏なっても本来の⽬的を達成することは難しいのではないかと感じた。

その点で、現在私たちが取り組んでいる⾳楽教育⽀援は、経済的⽀援とは異なり、⼦どもたちの精神的成⻑を促す点で⼤きな意義があると改めて感じた。新たな経験や刺激は、⼦どもたちの視野を広げ、将来の可能性を⼤きく押し広げる⼒になると信じている。
また、現地でお世話になったガイドの⽅も教育の⼒を強く信じていた。彼は⾃宅で地域の⼦どもたちに英語を教えており、その息⼦も⾼校⽣ながら英語を教える側に⽴っていた。将来は英語を⽣かしてガイドになりたいという夢があると語っていた。ガイドの⽅⾃⾝も、⾼等教育を受けていなかった⽗親の代で終わらず、⾃分は⼤学に進学したという。そして、現在では外国⼈観光客に対しガイドをやりながらも、⾃宅で英語を教え、家族だけでなくコミュニティ全体のリーダーとして働くという意識を持っているとも話していた。ここでも、教育の連鎖の重要性を⽬の当たりにした。
今回の訪問を通じて、私たちの活動のあり⽅についても考えを深めた。ラオスの商品を⽇本で販売することは、直接的な経済⽀援につながる。そして、それらの販売を通じて得た利益はNPOとしてさらなる活動に使うこともできる。例えば、コーヒーをコンサートで販売する事は良い例であると思う。しかし、ラオスに⻑期間滞在できない私たちが 本格的なビジネスを展開するのは現実的に難しい。⼀⽅で、教育⽀援は私たちにしかできない。持続可能な取り組みであり、⼦どもの頃に受けた刺激がその後の⼈⽣に⻑く影響を与えることを考えると、⾮常に意義深いものだと感じている。

その中でも、今回特に着⽬したのは国際交流である。ガイドの家族の英語教育や、⾃⾝の留学経験からも、国際的なつながりが⼦どもの成⻑に⼤きな影響を与えることを 実感している。私⾃⾝、国際交流を通じて視野を広げ、価値観やアイデンティティの形成に⼤きな影響を受けた。
そこで 、新たなプロジェクトとして「アートを通じた国際交流」を提案したい。具 体的には、⽇本とラオスの⼦どもたちが共通テーマで作品を制作し、展⽰会を開くというものだ。テーマ例としては「私の⼤好きなもの」など、⾃由な表現を促すものを想定 している。形式も、ポスター、絵画、写真、⾳楽など幅広く考えたい。ポスター制作であれば、簡単な単語を使ってメッセージを伝えることができ、⾔葉の壁を越えた交流も 可能だ。
完 成した作品は、私たちがラオスに持参して展⽰したり、現地で⼀緒に作成するイベントを開いたりする。そして⽇本でも展⽰を⾏い、必要に応じてオンラインで交流する 仕組みも作りたいと考えている。
ラオスの⼦どもたちにとっても、⽇本の⼦どもたちにとっても、異⽂化との出会いは 新たな視点をもたらし、貴重な体験となるだろう。これまでラオスの⼦どもたちへの ⽀援を中⼼に考えてきたが、今後は⽇本の⼦どもたちにも良い影響をもたらす活動を
⽬ 指していきたい。
これまでの経験、そして今回のラオス滞在を通じて、異なる⽂化や価値観に触れることが、⼦どもたち⼀⼈ひとりの可能性を⼤きく押し広げる⼒になると強く感じた。これからも⽬の前の⼀つひとつの出会いと学びを⼤切にしながら、ラオスの、そして⽇本の⼦どもたちに、ささやかでも確かなインパクトを届けられるような活動を続けていきたい。

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